ブラジルのハグ ― なぜ日本人は戸惑うのか|H&Aポルトガル語教室
- atsukohoshi
- 2 日前
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Oi gente! Tudo bem? こんにちは!
日本ブラジル中央協会理事・ブラジル歯科医師・H&Aコンサルティング代表 兼 ポルトガル語講師の星淳子ナターリアです。
ブラジルサントスで生まれ育ったブラジル日系2世で、現在は日本で暮らしています。
先日、知り合いの友人たちが初めて日本を訪れ、案内を頼まれました。初対面にもかかわらず、会ってすぐにハグで挨拶。とはいえ、どこか距離感のある、控えめなハグでした。ブラジルではハグはごく自然な挨拶ですが、初めて会う相手同士なりの慎重さを感じました。
ところが、別れの時間になると、そのハグはまったく違うものになりました。「知り合えてよかった」「お世話になった」「本当に楽しかった」——そんなさまざまな感情が込められた、温かいハグです。でもそのとき、ふと感じました。
ハグは、距離を縮めるためというより、「その場に生まれた気持ちを、ちゃんと使い切るための行為」なのかもしれない。
また別の日、案内していたファミリーの22歳の息子さんが、お店の中でお母さんにハグをしました。理由は、お母さんが大学卒業祝いにiPhoneを買ってあげたから。お店で、しかも人前で母親にハグをするなんて……正直、私の家庭では考えられません😅そもそも、日本では家族同士でハグをする習慣自体がほとんどないですよね😅
でも、あの親子の様子を見ていて、「特別なことをしている」というより、気持ちの伝達をその場で明確に済ませているように感じました。

■ ブラジルのハグ
ブラジルでは、嬉しさも、感謝も、寂しさも、内側に溜め込むものではありません。身体や言葉にして外に出すことで、「ちゃんと伝えた」「もう大丈夫」と区切りがつく。だからハグは、必ずしも関係を深めるためだけの「挨拶」というシンプルなものではないと感じています。家族や友人の気持ちに寄り添うために、喜びを共有するために、言葉では足りない感情を伝えるために、ごく自然に使うもので、全身を使い、感情がそのまま乗っていることも多く、笑顔、背中を軽くたたく仕草、頬へのキスが添えられることも珍しくありません。特に、久しぶりの再会や気持ちが高まった場面では、自然と長いハグになります。
こうしたハグのあり方には、人との距離が近いこと、感情を抑え込まないこと、関係性を大切にするというブラジルの価値観がよく表れていると感じます。ブラジルでは、感情を表すことは恥ずかしいことではなく、むしろ、人として誠実であることの一部だと考えられているからこそ、ハグは「距離を縮めるためのもの」というより、その場に生まれた気持ちを、きちんと伝え切るための行為なんだと思うのです。では、日本ではどうでしょうか。
■ 日本ーハグをしない文化の中で
日本では、感情をそのまま外に出すことに、ブレーキがかかる場面が少なくありません。深刻な話をしているときや、悲しみを抱えているときでさえ、人は無意識に作り笑いをしてしまうことがありますよね。悲しむべき場面で作り笑いを浮かべながらインタビューを受ける日本人の表情に、違和感を覚える外国の方も多くいます。

けれど、日本人のこのような態度は、感情が分からないからでも、冷たいからでもなく、感情をそのまま外に出すことに、慎重すぎるほど慎重だからなのだろうと感じます。日本人でも外国でハグをすることはありますが、なぜかぎこちない。それは単なる挨拶としてハグをとらえ、感情を表に出そうとしていないことが影響しているとのだろうと思うのです。
感情を表に出す文化で育った人からすれば、先ほどの作り笑いや、ハグのぎこちなさに戸惑うことがあるかもしれません。でも場の空気を壊さないためだったり、相手を困らせないために、感情をいったん自分の内側にしまい込むという態度が自然に身についている日本人が、感情を「出さない」ことは、無関心ではなく、配慮であり、相手への思いやりの表れだと思うのです。
■ ブラジル人と日本人の感情表現
日本には、はっきり言葉にしなくても、多くを語らなくても、身体全身で表現しなくても「言いたいことは分かる」という対人関係があるのでしょう。ハグはしないけれど、視線や沈黙、間(ま)、同じ空気を共有することで、気持ちを外に出さずとも、静かに感情を使い切った感覚が残るのだと思います。
ブラジルでは、感情は外に出して完結させる。
日本では、感情を抑え、包み込みながら完結させる。
どちらが正しいという話ではなく、感情の「扱い方」と「終わらせ方」が違うだけなのだと思います。その違いを知っているからこそ、ブラジルのハグが、単なるスキンシップではなく、気持ちをその場で伝え切り、前に進むための一つの装置のように私には感じるのだと思います。ブラジルは、外に出して使い切る文化。日本は、共有された文脈の中で使い切る文化。その違いを知らなければ、同じ場にいても、同じ気持ちにはなれないのかもしれません。そんなことを、ふと考えさせられた時間でした。
■ ブラジルをもっと深く知りたい方へ
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