エプロンは「お母さん」の象徴?─日本とブラジル、そして欧米の違い|H&Aポルトガル語教室
- atsukohoshi
- 1月25日
- 読了時間: 6分
Oi gente! Tudo bem? こんにちは!
日本ブラジル中央協会理事・ブラジル歯科医師・H&Aコンサルティング代表 兼 ポルトガル語講師の星淳子ナターリアです。
ブラジルサントスで生まれ育ったブラジル日系2世で、現在は日本で暮らしています。
日本で「お母さん」と聞いて、エプロン姿を思い浮かべる人は少なくないと思います。台所に立ち、家族のために料理をし、日々の生活を支える――そんなイメージとエプロンは、長い間、自然に結びついてきました。また町内会の行事などでも、お母さん方はエプロンをつけて参加することが当たり前のように感じています。でも、ブラジルではこのような認識や光景はまず見当たりません・・・・
■ 来日して気づいた「割烹着」という存在
日本に来たとき、私が改めて関心を持ったものの一つが「割烹着」でした。もっとも、完全に初めて目にしたというよりも、どこか懐かしさを伴う存在だった、という方が正確かもしれません。というのも、私の両親は戦後の混乱期に日本からブラジルへ移住し、その後も家庭内では日本文化を大切にしていたため、家庭の中は、昭和初期の日本という感じで、割烹着も見慣れたものでした。
それでも、日本で改めて割烹着を目にしたとき、その存在が持つ意味の独自性に気づかされたのです。海外には、割烹着に完全に対応する概念がほとんど存在しません。割烹着は単なる作業着ではなく、普段着の上から着る「家事のための生活着」という、独特の位置づけを持っています。
家事と日常生活がはっきりと分けられていない――その感覚こそが、割烹着という衣服、そして今ではエプロンを通して可視化されている、日本独自の生活文化なのだと、強く感じました。
■ 割烹着が生まれた背景 ― 着物文化
割烹着が生まれた背景に日本の着物文化があることを、私は後に知ることになります。着物は汚れると手入れが大変なため、日々の家事の中で衣服を守る工夫が必要でした。その結果、着物の上に着る服として割烹着が生まれた、という説明を聞いて、「なるほど」ととても感心したことを覚えています。
割烹着は、そうした暮らしの知恵から生まれた、日本独自の衣服だったんですね。衣服を守りながら、生活の中で自然に着続けられるように考えられた服。そして、この割烹着という文化があったからこそ、日本ではエプロンもまた、家事のときだけ身につける道具ではなく、家の中で日常的に着るものとして受け入れられてきたのかもしれません。
エプロンが「お母さんの象徴」として定着した背景には、割烹着に代表される、日本ならではの生活文化の流れがあったように感じています。

■ 共働き時代とエプロンの意味の変化
一方で、近年は日本でも夫婦共働きが当たり前の時代になりました。家事や育児を「お母さんの役割」と決めつけること自体に、違和感を覚える人も増えています。それでもなお、エプロンが完全に姿を消したわけではありません。むしろ「誰かの役割」を示すものから、「家事をする人のための道具」へと、意味を少しずつ変えながら残っているようにも見えます。
■ ブラジル・欧米におけるエプロンの位置づけ
ブラジルでは、エプロンに対する印象は日本とは少し異なります。家庭内でエプロンを使う人がいないわけではありませんが、社会的には、家事使用人や清掃、飲食などの「仕事着」を連想させることが多いのが実情です。
そのためブラジルでは、エプロンが母親像や家庭像の象徴として語られることはあまりありません。共働きが一般的であることもあり、家事は特定の人の役割ではなく、分担される「作業」として捉えられる傾向があります。エプロンは感情や役割を背負うものではなく、必要に応じて使う実用品なのです。

■ 「エプロンのまま外に出る」という違和感
この違いは、日常の振る舞いにもはっきりと表れます。実は私自身、アメリカで生活していたときに、そのことを身をもって知る経験をしました。あるとき、友人たちを招いてホームパーティを開いたのですが、料理をしていた私はエプロンをつけたまま、集まってきた友人たちとそのまま会話をしていました。すると、何でも率直に言ってくれる友人が、そっとこう教えてくれたのです。「私は気にしないけれど、お客さんを迎えるときはエプロンを外した方がいい。そうしないと、少しみっともなく見えてしまうわよ。」
そのとき、私ははっとしました。当時の私は、日本で結婚し、日本で子育てをしている時期にアメリカへ渡っており、生活感覚はすっかり日本のものになっていたためか、エプロンをつけたまま人を迎えることに、何の違和感も持っていませんでした。日本では、エプロンをつけたまま宅配を受け取ったり、近所へ買い物に出かけたりする光景は珍しくありません。エプロンは「生活の延長」にある服であり、必ずしも人と会うことを遮断するものではないからです。
一方で、ブラジルや欧米では、エプロンは「作業中」「仕事の最中」を示す服装として捉えられることが多く、誰かを迎える場面では外すべきもの、という感覚が比較的強くあります。特に、知人や友人と会う場合、エプロン姿のまま対応すると、「まだ準備が整っていない」「相手を迎える態勢ではない」と受け取られてしまうこともあります。そのため、ブラジルや欧米の文脈では、誰かを迎え入れる時にはエプロンを外すことが、マナーとしても大切になっています。
■ 文化がつくる「服装の境界線」
こうして見ると、エプロンに込められた意味の違いは、単なる服装の問題ではなく、家事と生活、私的空間と社会的空間をどう区切るかという文化の違いに深く結びついているように思います。日本では、着物文化を背景に生まれた割烹着の流れをくみ、エプロンが「家の中の日常着」として受け入れられてきました。その感覚は、共働きが広がった今もなお、どこかに残っています。
一方、ブラジルや欧米では、エプロンはあくまで機能的な道具であり、役割や感情を背負わない、より中立的な存在として位置づけられています。このように何気ない服装の違いから、異なる文化の背景を探ってみると、意外な気付きが得られるように感じています。

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