ブラジルのマナーと名前に込められた「心の距離」の文化|H&Aポルトガル語教室
- atsukohoshi
- 11月15日
- 読了時間: 5分
更新日:11月15日
Oi gente! Tudo bem? こんにちは!
日本ブラジル中央協会理事・ブラジル歯科医師・H&Aコンサルティング代表 兼 ポルトガル語講師の星淳子ナターリアです。
ブラジルサントスで生まれ育ったブラジル日系2世で、現在は日本で暮らしています。
■ ブラジルのマナーと名前 – 相手を大切にする「心の距離感」
ブラジルと日本で暮らした経験からすると、ブラジルの「マナー」は日本とは少し違う形で存在していると感じます。たとえば日本では、言葉遣いや礼儀正しさがとても重視されますが、ブラジルでは『「心の距離を縮めること」そのものがマナー』という印象があります。
■ 名前で呼び合う文化
ポルトガル語を教えていると、生徒さんは普通に「星先生」と苗字で呼ぶのですが、この呼び方、ブラジルとはちょっと違います。ブラジルでは、初対面でも「セニョール・カルロス」や「ドクトーラ・ナターリア」といったように下の名前で呼ぶのが自然です。そこには「あなたと心を通わせたい」というメッセージが込められています。
また、日本では苗字に「さん」をつけるのが基本。距離を保ち、相手に踏み込みすぎないのが礼儀です。でもブラジルでは、距離を詰めること自体がマナーなんです。だからこそ、名前で呼ばれた瞬間——ちょっと心の壁が溶けるような気がするのです。ブラジルでは、初対面でもすぐにファーストネームで呼び合います。先生や上司であっても、人間関係が構築されれば、たとえば「ナターリア」「カルロス」といった形で、名前に親しみを込めたコミュニケーションが行われます。形式ばった呼称よりも、「あなたを一人の人として尊重していますよ」という気持ちが大切。日本のように「苗字+さん」で距離を保つ文化とは、まったく逆の発想ですね。
ただし、ビジネスの場面とプライベートの場面では若干状況は異なりますし、日本語の「〇〇様」と「〇〇さん」のように、敬称を付けることが相応しい場面もあるので、注意が必要です。日本語でも、この辺は難しいところですが、少しだけ解説しますね。
■ 男性に使う敬称
① senhor(セニョール)
いちばん一般的で丁寧。日本語の「○○様」に近い。
例:Senhor Carlos(カルロス様)
使う場面: 会社、接客、目上の人、外部の人。
② seu(セウ)
senhor がくだけた形。地域によってよく使う。日本語の「○○さん」に近い。
例:Seu Paulo(パウロさん)
使う場面: 日常会話、同僚、近所。
※会社のフォーマルな場面ではあまり使わない。
■ 女性に使う敬称
① senhora(セニョーラ)
丁寧でフォーマル。日本語の「○○さん/○○様」。
例:Senhora Ana(アナさん)
使う場面: 会社、外部の人、目上の人、接客。
② dona(ドナ)
少しカジュアルで親しみがある言い方。年上の女性に使われることが多い。
例:Dona Maria(マリアさん)
使う場面: 家庭的な場面、近所、親しい関係。
※企業ではあまり使わない。
■ ブラジルの会社での使い方
外部の人には:senhor / senhora
同僚には:名前だけ(Carlos, Ana など)
seu / dona:地域的・カジュアル。会社では少なめ。
■ 挨拶は「心を伝えるコミュニケーション」
ブラジルに一時帰国したとき、空港に迎えにきてくれる兄や義姉は、会うなり大きな声で「ナターリアー!」と叫び、ぎゅっと抱きしめてくれます。あの瞬間の温もりは格別です!
ブラジルでは、挨拶は「儀礼」ではなく「愛情表現」。親しい間柄なら頬へのキス、知らない人でも笑顔で「Tudo bem?」と声をかける。言葉を交わすというより、「あなたを歓迎しています」と全身で伝える行為なのです。
日本ではお辞儀で敬意を表しますが、ブラジルでは抱擁で心を伝える。ブラジルでは、「心を開いて接すること」が何よりのマナー。言葉が少し間違っていても、笑顔で話そうとする姿勢が相手に伝われば、それが一番の礼儀です。
でも形は違っても、どちらも「相手を大切に思う」という気持ちは同じなんですよね。

■ 名前にも「家族の愛」が込められている
生徒さんから「なんでブラジル人の名前ってあんなに長いの?」と聞かれることがよくあります。
ブラジルでは父方・母方、どちらの姓も残すのが一般的。これは、両方の家族を大切に思う気持ちの表現なんです。かつてブラジルの友人が言っていました。「名前には「家族の物語」が入ってるのよ。だから、皆誇りを持っているのよ」と。
ブラジル人の名前が長いのは、家族を大切に思う気持ちの表れ。父方・母方の姓を両方残すことで、「どちらの家族も大切にしている」という文化が息づいています。これもまた、人とのつながりを大切にするブラジル流のマナーなんですね。
■ 日本とブラジル、違いを知ることで近づける
日本では「礼儀正しさ」「静かな礼儀」が、ブラジルでは「心の温かさ」「陽気な親しみ」が、それぞれのマナーの根底にあります。でもまったく違うようでいて、根っこは同じ。どちらも相手を思いやる気持ちから生まれた文化。大切なのは「違いを怖がらず、理解しようとすること」だと思います。
H&Aポルトガル語教室でも、私はいつも『言葉だけでなく、その奥にある「文化の違い」を感じてほしい』と伝えています。ポルトガル語を学ぶことは、単に単語や文法を覚えることではなく、人の優しさに触れる旅なんです。
■ 最後に(学びと文化交流・H&Aポルトガル語教室)
H&Aポルトガル語教室では、ブラジルの日常生活などもテーマにしながら、楽しくレッスンを行っております。また、日本とブラジルの文化や習慣の違い、コニュニケーションの仕方の違いなどに注意しながら、確実なレベルアップを目指す効率的なレッスンを進めています。ご興味のある方は是非下👇の動画(26秒)をご覧の上、無料体験レッスンをお申し込み下さい。またH&Aコンサルティングでは、ブラジルセミナーなども開催しております。興味のある方は、ぜひホームページ(https://www.h-a-consulting.com/ )をご確認ください。
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